無明の闇 ― すべての苦しみの根にあるもの
病、
人間関係、
恋愛、
金銭問題。
こうした“心を燻らせる四つの火種”は、
人生のどこかで必ず顔を出す。
そして、一度火がつくと、なぜかしつこく心の奥を焦がし続ける。
それはなぜか。
答えは、もっと深い地層に潜んでいる。
心の地盤のずっと下――
**「無明（むみょう）の闇」**と呼ばれる領域だ。
無明とは、
“ものごとの正体が見えず、自分自身の姿すら見えなくなる心の暗闇”のこと。
私たちは、
病が「不安の塊」になってしまうとき、
人間関係が「嫌われる恐怖」を呼ぶとき、
恋愛が「執着」に変わるとき、
お金が「価値そのもの」と錯覚してしまうとき、
気づけばこの無明の闇に引きずられている。
問題そのものよりも、
**“問題にラベルを貼って膨らませてしまう自分”**が苦しみを深める。
心が曇ると、現実以上に世界は重く、狭く、息苦しく見える。
これが無明の働きだ。
しかし、この闇は「悪」ではない。
むしろ、どんな人にも生まれながらに備わった“心の初期設定”だ。
夜があるから、朝が美しいように、
闇があるから、光を知る。
人の成長とは、
問題をゼロにすることではなく、
闇の存在に気づき、灯りを持てる人に変わること。
病も、恋も、人間関係も、お金も、
本当は私たちを壊すために現れるのではない。
燻り続ける心の奥底にある“無明”と向き合い、
すべての出来事を「光へ変える」ために現れている。
闇は消すものではなく、
光に変換するための材料だ。
そこに気づいた瞬間、
同じ人生が、まるで違う表情を見せはじめる。
作品名：無明の闇 ― すべての苦しみの根にあるもの 作家名：タカーシャン