個性が咲く社会は、地球のように強い
地球という巨大な生命システムは、ひとつの原理で成り立っている。
それは——多様性が調和をつくり、個性がバランスを整える ということだ。
ジャガー、コケ、クジラ、バクテリア、そして私たち人間。
強そうなものが世界を支えているのではない。
目立たない存在、奇妙な存在、弱々しく見える存在、
すべてが役割を担い、地球の循環を底から支えている。
ところが人間の社会はどうだろう。
経済社会、大組織、会社、学校。
そこではしばしば、
「リーダーシップがあるか」
「コミュニケーション能力が高いか」
「成果が数字で見えるか」
といった “表面の能力” ばかりが尊ばれてきた。
まるでジャングルの生態系を、
“象とトラだけいれば回るだろう” と誤解するようなものだ。
人材とは生態系である。
だから本来は、
静かに黙々と働く人、
慎重すぎるほど慎重な人、
突拍子もない発想しかしない人、
短時間で一気に燃え上がる人、
話すのは苦手だが観察力が鋭い人、
人よりもゆっくりだが、深く関わる人。
——そのすべてが必要だ。
組織がうまくいかない理由の多くは、
能力の「不足」ではなく、
個性の“選別”をしてしまったことによる土壌の痩せ細り である。
地球は、どんな生命も存在を許し、活かしている。
そしてその開放性が、気候変動すら吸収する強靭さを生み出してきた。
今こそ人間社会も学ぶべきだ。
選ばれた能力だけを伸ばす時代は終わった。
これからは——
あらゆる個性が開花する土壌をつくった者が、
あらゆる問題を解決できる。
地球がそうであるように。
作品名:個性が咲く社会は、地球のように強い 作家名:タカーシャン



