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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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“汚い”とは何か

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“汚い”とは何か

〈大便、トイレ、ウォシュレット、そしてスマホの真実〉

私たちは毎日のように「汚いもの」に出会っている。
大便。トイレ。ウォシュレット。そして、いつも手の中にあるスマホまで。
だが、よく考えると奇妙だ。
本当に“汚い”ものと、ただ“汚いと感じる”ものが、いつの間にか同じ扱いになっている。

たとえば大便。
あれは確かに汚い。匂いも強烈で、見た目も刺激的だ。
だが、科学的には「危険物」ではなく、正しく洗えばほとんど問題がない。
便に含まれる細菌の多くは腸内に住む常在菌で、皮膚に付いた程度では感染しにくい。
つまり私たちが抱く“絶望的な汚さ”は、匂いが引き起こす本能的な嫌悪感にすぎない。

一方で、トイレそのものはどうか。
思わず身構えてしまう空間だが、実際のトイレは意外と清潔だ。
便座にいる細菌は、キッチンのまな板より少ない──そんな研究もある。
人が「ここは汚い場所」と認識している分だけ、掃除と管理が行き届くのだろう。

ところが、日常の“油断ゾーン”がある。
それがウォシュレットとスマホだ。

ウォシュレットは、正しく使えば極めて清潔。
紙だけで拭くよりも、残留便は少なく、皮膚トラブルも減る。
医療現場でも「痔の人にはおすすめ」と言われるほどだ。
ただし弱点はノズル。
湿気がこもりやすく、細菌が付着する可能性がある。
とはいえ、その菌が原因で健康被害が起きることはほとんどない。
危険なのは「使いすぎ」のほうだ。
強い水流で長時間当てれば、皮膚のバリアが壊れ、かえって不衛生になる。

そして最後に、スマホ。
これがもっとも“過小評価された汚れモノ”だ。
スマホには大便ほどの菌の「量」はないが、問題は“質”と“ルート”にある。
手で触り、その手で口や鼻を触れ、顔に押し当てる。
スマホの菌は体の入り口に直結している。
実際、トイレの便座よりスマホの方が細菌数が多いというデータが山ほどある。
しかも多くの人は、ほとんど除菌をしないまま毎日使っている。

ではどうすればいいか。
簡単だ。
深刻に構える必要はない。
アルコールを含んだ布で一日一回サッと拭くだけ。
たったこれだけで、ほとんどの菌は死滅する。
無菌を目指す必要はない。
大切なのは、手→スマホ→顔・口 という“感染ルート”を断つことだ。

思い返せば、汚さとは一種の“錯覚”でもある。
匂いの強いものを本能的に強く嫌い、匂いのないものを油断する。
見た目のインパクトに引きずられ、目に見えない危険を見過ごす。
人間の感覚は、案外当てにならない。

だからこそ私たちは、
「汚いかどうか」を感覚ではなく、
「どう触れ、どう管理すれば安全か」という視点で見直す必要がある。

大便は、想像ほど危険ではない。
トイレは思ったより清潔。
ウォシュレットは、使い方さえ知れば最高の衛生ツール。
そしてスマホこそ、もっとも静かに菌を運ぶ存在だ。

すべては扱い方一つ。
汚さの本質は、“もの”ではなく“習慣”のほうにある。

日々の生活は、そんな小さな気づきの積み重ねで、
驚くほど快適にも、安全にもなるのだ。
作品名:“汚い”とは何か 作家名:タカーシャン