小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

あらゆる時を見つめて生きる人がいる。
24時間、眠らぬ世界の流れを肌で感じながら走る人たち。
朝焼けを背に出発し、夕焼けを越えて、夜の帳の中に沈む街を見届ける。
彼らにとって「時間」は時計ではなく、路面の乾きや、風の匂い、遠くで瞬く街灯の色で測られる。

一年の季節の移り変わりを、誰よりも正確に、そして静かに知っているのは――長距離ドライバーだ。
春の雪解けをタイヤが感じ、夏の夜明けをミラーが映す。
秋の風が荷台を鳴らし、冬の凍結路が心を締めつける。

彼らは時間を運ぶだけでなく、世界の呼吸を聞いている。
人々が眠っているあいだに、季節はひとつ進む。
その一歩を知るのは、走り続ける者たちだけだ。