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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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一週間とは

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一週間とは

――人間がつくった、心の呼吸装置――

一週間とは何か。
それは、太陽の運行でも、月の満ち欠けでもない。
自然界には「七日」という単位は存在しない。
一週間とは、人間が心のリズムを保つために発明した“休息の装置”である。

七という数字には、なぜか人間の精神を落ち着かせる何かがある。
七色の光、七つの音階、七不思議。
人は周期の中に安定を求める。
だが、月や太陽のような自然のリズムに比べ、一週間はあくまで「人工のリズム」だ。
つまり、一週間は、社会と個人が交わる最小の時間単位である。

月曜日には社会が動き出す。
火曜・水曜で加速し、木曜には疲労が溜まり、金曜でピークに達する。
そして土曜・日曜でリセットする。
この波が繰り返されることで、人は“時間の海”でおぼれずにすむ。
一週間とは、社会という巨大な海で泳ぐための呼吸法のようなものなのだ。

だが現代において、この呼吸は乱れている。
テクノロジーは時間の区切りを溶かし、
SNSやスマートフォンは「曜日感覚」を消し去った。
日曜でも通知が鳴り、夜でも仕事が入り、
“いつでも誰かが起きている”世界では、
もはや「週」という区切りは意味を失いつつある。

では、私たちはこれから、どうやって呼吸すればよいのか。

私の考える一週間とは、
「社会の時間」と「心の時間」を再調律するためのリセットの単位」である。
月曜に始まるのは「仕事」ではなく、「意思」であり、
日曜に終わるのは「休み」ではなく、「振り返り」なのだ。
働くための準備と、休むための感謝。
この両極があることで、私たちは人間らしいテンポを保っていられる。

たとえば、古代の人々は六日働き、一日を祈りに捧げた。
それは宗教ではなく、リズムの科学だったのかもしれない。
祈ることで心を調律し、
感謝することで社会との接点を取り戻す。
その一日の“余白”があって、はじめて六日が生きる。
つまり、七日目こそが一週間の中心であり、
「止まる日」があるからこそ、「進む日」が意味を持つ。

現代の私たちは、止まることを忘れている。
休日にも予定を詰め、スマホで情報を浴び、
休息のつもりが、別の疲労を蓄積している。
これはまるで、休息を失った文明の呼吸困難だ。

では、いま私たちにとって「一週間を生きる」とは何を意味するのか。
それは、日々の中に「小さな七日」を見つけることかもしれない。
月曜の朝に“始まり”を感じ、水曜に“中間”を見て、金曜に“一区切り”をつける。
そして日曜に、たとえ一時間でも「心の休止符」を打つ。
その一時間の静けさが、また次の七日を支える。

つまり、一週間とは「時間の区切り」ではなく、
心の呼吸を取り戻す周期なのだ。
働く・休む・感じる・手放す――
それを七日という形で整えたのが、人類最古の“時間デザイン”である。

一週間がなめらかに流れるとき、人生もまた流れる。
七日を雑に扱えば、人生も荒くなる。
日々の細部に、呼吸のリズムを取り戻すこと。
それが、デジタル時代の「人間の再起動」なのだと思う。
作品名:一週間とは 作家名:タカーシャン