「白髪の貴婦人 ― ススキのように ―」
風が吹くたびに
静かに揺れる
その姿は――
白髪の貴婦人のよう
語らずとも
すべてを知っている
長い歳月の中で
悲しみも 歓びも 受け入れてきた人のように
ススキは言う
「無理をしなくていいのよ」
「ただ、そこに立っていればいいの」
光を浴びれば銀に輝き
月の下では白く沈む
そのどちらも
美しい
人は若さを追いかけるけれど
本当の美は
風と語らう静けさの中にある
日本人として
ススキのように
白髪の貴婦人のように
しなやかに生きていたい
倒れても 折れず
散っても 根は残る
その強さこそ
やさしさの証
そして今夜も
風の中で
ひとり 気高く 微笑んでいる
作品名:「白髪の貴婦人 ― ススキのように ―」 作家名:タカーシャン



