名医のような政治家を見抜くには
政治家を見るとき、医者を見る目が役に立つ。名医は、症状ではなく原因を診る。熱を下げる薬ではなく、なぜ熱が出たのかを探る。政治も同じだ。物価高や少子化など「症状」だけに反応し、次々と制度を作るだけでは、根治には至らない。構造的な原因に切り込む勇気を持つ人こそ、名医型の政治家だ。
もう一つの特徴は「薬を出しすぎない」こと。名医はむやみに薬を出さず、患者の自然治癒力を信じる。政治家もまた、新しい補助金や制度を乱発せず、人々が自ら立ち上がれる社会を信じる度量が必要だ。何もしないようでいて、実は最も大きな治療をしている場合もある。
そして、名医は患者の話を聴く。早口で説明する前に、黙って相手の不安を受け止める。政治家も同じだ。国民の「声なき声」に耳を澄ませられる人は少ない。聴く力こそ最大の政治力である。
さらに、名医は痛みを恐れない。「この手術は痛みますが、治るために必要です」と正直に伝える。人気取りより真実を語る政治家が、本当の信頼を得る。
最後に、名医は後進を育てる。権力を手放し、次の世代に技を継ぐ。政治家もまた、自らが去った後に社会が良くなる仕組みを残せる人が、本物の治療者だ。
政治とは、国家という体の健康を守る医療行為。名医のような政治家を見抜く力が、私たち有権者に求められている。
作品名:名医のような政治家を見抜くには 作家名:タカーシャン



