「癒しの値札」
「癒やされたい」という言葉ほど、
現代を象徴するものはない。
アロマ、カウンセリング、スピリチュアル講座、
マインドフルネスにコーチング。
かつて“祈り”や“対話”だったものが、
今や“サービス”として値札を付けられ、
消費の棚に並んでいる。
疲れた心を癒やすことは悪くない。
問題は、それが“終わりのない消費”に変わることだ。
癒しを買うたびに、次の癒しを求めてしまう。
それはもはや、痛みの治療ではなく、
「不安を延命する」装置となる。
癒し産業の根底には、
「あなたはまだ足りない」という無言のメッセージがある。
だからこそ、消費は止まらない。
本当に人を癒やすものは、
誰かに“与えられる”ものではなく、
静かに“気づく”もの。
その原点を忘れたとき、
癒しは産業となり、産業は依存を生む。