「サイバーは攻撃などしない」
近年、「サイバー攻撃」という言葉が日常に溶け込んでいる。
ニュースでは「サイバー犯罪」「サイバー防衛」といった言葉が並び、
“サイバー”がまるで暴力の代名詞のように使われている。
だが、本来の「サイバー」は「制御」や「調和」を意味するギリシャ語に由来する。
つまり、暴れるものではなく、整えるものだ。
情報もネットも、使い方次第で世界をつなぐ温かいインフラとなる。
攻撃しているのは、サイバーではない。
人間の欲望と恐れが、電脳空間を通して可視化されているにすぎない。
サイバーは本来、鏡のような存在である。
覗き込む者の心が濁れば、映る世界もまた濁る。
澄んだ心で使えば、それは世界を結ぶ清流になる。
だから言いたい。
サイバーは攻撃などしない。
攻撃しているのは、いつも「人」なのだ。
作品名:「サイバーは攻撃などしない」 作家名:タカーシャン