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タカーシャン
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novelistID. 70952
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始まりは一つの「共通の粒子」

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始まりは一つの「共通の粒子」

目の前の道端にある石ころを手に取ってみましょう。ゴツゴツとした、ただの無機物に見えます。そして、人間は意志を持ち、思考し、生命活動を営む、極めて複雑な有機体です。

しかし、その両者を素粒子レベルまで細かく分解していくと、驚くべき真実が見えてきます。石ころを構成する原子も、人間を構成する原子も、究極的にはクォークや電子といった、わずか数種類の「レゴブロック」でできているのです。

物質的な構成要素という観点から見れば、石ころと人間は「もとは同じ」です。宇宙に存在するすべての物質は、ビッグバン以来存在する、共通の「素材」から生まれている。私たちは皆、星の塵でできている、という言葉は、決して詩的な表現に留まらない、科学的な真実なのです。

決定的な違いを生む「組織化」の力

では、なぜ「もとが同じ」なのに、石ころはただそこに静かに転がり、人間は思考し、笑い、そして成長するのでしょうか?
それは、素粒子や原子の「組み合わせ方」と「情報」にあります。

石ころは、原子が規則正しく、安定した結晶構造を作っています。この状態は非常に安定的で、外部から強い力が加わらない限り、その姿を何万年も保ち続けます。

一方、人間を含む生命体は、原子が極めて複雑かつ動的に組織化された細胞というシステムを持っています。
• 石ころは「堅い壁」のようなもの。一度組み上がると、エネルギーを使わずに静止しています。
• 人間は「絶えず修理と交換を繰り返す巨大な工場」のようなもの。代謝という活動を通してエネルギーを使い続け、自身の秩序を必死に保ち、そして自己を複製(命を繋ぐ)する能力を持っています。

この「絶えず変化しながら、自らの形と秩序を維持する」という組織化の力、そしてそのシステムに書き込まれた「生きるための情報」(DNA)こそが、人間を、ただの「石ころ」ではない存在にしている、決定的な違いなのです。

全てはもとに戻る—そして理解へ

「全てはもとに戻ることで理解される」という言葉は、この共通の「もと」への認識をさらに深めます。

私たちが死を迎えるとき、この高度に組織化された生命体としての「人間」の構造は失われ、分子、原子、そして素粒子へと分解され、宇宙の普遍的な構成要素へと「もとに戻って」いきます。石ころが風化するのも、同じ分解のプロセスです。

この普遍的な共通性、つまり「人間」も「石ころ」も、一時的な現象に過ぎず、同じ根源から生まれ、同じ根源に還るという真理を理解すること。

それは、自分という個別の存在に固執するのではなく、すべてのものが繋がり合っているという「縁起」の理を悟り、生と死、物質と精神、というあらゆる区別を超えた存在の根源的な美しさを理解することに繋がるのです。

人間は石ころと同じ素粒子からできている。しかし、その素粒子を「生命」として動かし、この世界を体験している奇跡のシステム、それこそが「人間」なのです。