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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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目に見えない悲鳴を聴く

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目に見えない悲鳴を聴く

私たちは今、「見えないもの」が軽視される時代を生きています。

スマートフォンの画面が明るく、データが秒速で飛び交うこの世界では、目に見える成果、数値化された実績こそが「価値」だと信じられがちです。

だからこそ、「心」という最も繊細で、最も把握しにくいものが、後回しにされてしまうのかもしれません。

現代病としての「心の盲目」

「心が見えない」「心が届かない」「心が伝わらない」。

この三つの痛切な言葉は、現代社会の病を的確に表しています。私たちは、誰かの小さな心の悲鳴を聞き逃しています。

それは、職場の隅でため息をつく声かもしれません。家庭内でふと見せる、沈黙と無表情かもしれません。インターネット上の匿名の書き込みかもしれません。

残念ながら、目に見えない小さなサインは、「気のせいだ」「大したことない」と簡単に放置されてしまいます。誰もが忙しく、自分のことで手一杯だからです。

そして、その小さな悲鳴が水面下でマグマのように溜まり、ある日突然、大きな事件や事故、センセーショナルなニュースとなって爆発します。私たちはその時になって初めて「なぜこんなことに?」と驚く。しかし、それは「小さなことを軽視し続けた」結果にほかならないのです。

小事が大事:予防の哲学

この連鎖を断ち切るには、考え方を根本から変える必要があります。それが「小事が大事」という哲学です。

つまり、全てを「大事」に至らせないための予防医学です。

大きな病気にかかってから大手術をするのではなく、日々の生活の中で小さな異変に気づき、早めに休む。心についても同じです。

私たちは、他者の心のサインをキャッチできる感性を磨き直さなければなりません。

それは特別なスキルではなく、隣にいる人の顔色を注意深く見ること、立ち止まって「最近、元気がないけど、何かあった?」と声をかけてみる勇気を持つことです。そして、出てきた言葉を否定せず、ただ傾聴する時間を確保することです。

誰かが発する「小さな悲鳴」は、その人自身を救う鍵であると同時に、社会全体を救う小さなSOS信号です。

目に見えるものばかりを追いかけるのをやめ、心の奥底で震えるかすかな音に耳を澄ます。この心の予防の哲学こそが、傷つき疲弊した現代社会に今、最も必要とされている灯りではないでしょうか。

私たちは、その灯りを一つひとつ、互いに分け合いながら歩き出す必要があります。