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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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終点のない往復の旅路

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終点のない往復の旅路

「ゴールには至らなかった」。その一文が、全ての答えであり、全ての始まりだった。

僕たちの物語は、いつも「それぞれの駅で同じ電車に乗り込む」という、奇跡のような日常から始まった。それは、偶然という名の仕掛けられた罠。

向かい合ったシートに座り、出発のベルが鳴ると、車窓の景色が流れ出すのと同時に、僕たちの「おしゃべり」という名の列車も走り出す。都会の喧騒、過ぎ去る家の明かり、何もかもがどうでもよくなり、ただ「終点」までの二人きりの時間だけが世界の全てになる。

恋とは目的地ではないのかもしれない。終点に着いても、そこで降りてしまうのは少し寂しい。だから僕たちは、無意識のうちに折り返し運転を選んだのだろう。行き先のないまま、もう一度同じレールを戻っていく。二度目のおしゃべりは、初めてよりも深く、少しだけ互いの本質に触れることができた気がした。

「次は君の降車駅だね」。

別れを告げるその瞬間まで、「恋の恋愛電車」は一体どこに進んでいたのだろうか。

きっと、その電車は「二人の心の距離」という見えないレールの上を走っていたのだ。ゴールである「結ばれること」にはまだ届かなかったけれど、同じ時間を共有し、笑い合い、言葉を交わした長い往復の旅路そのものが、既に何にも代えがたい愛の序曲だった。

折り返し運転を終え、ホームに降り立った時、僕たちの手には何も残っていなかったかもしれない。けれど、胸の中には、終着駅のない期待と、再会を願う切ない予感という名の乗車券が、しっかりと握りしめられていた。

僕たちの「恋愛電車」は、今もどこかの駅で停車し、次に「同じ電車」に乗り込む誰かを待っている。そんな気がしてならない。

この電車が次に出発するのは、いつのホームからになりそうですか?