外の最前線で戦う臓器、皮膚
人間の体の中で、最も目立たず、しかし最も重要な臓器がある。
それが皮膚だ。
皮膚は単なる被膜ではない。
それは、体という国を守る最前線の防衛線であり、外交官でもある。
外界は常に変化し、危険に満ちている。紫外線が降り注ぎ、微生物が忍び寄り、気温や湿度が刻々と変わる。
そのすべてに、皮膚は瞬時に反応する。汗をかき、血管を拡張し、脂を分泌することで、体の内部を守る。
また、皮膚は情報の窓でもある。赤くなることで熱や炎症を知らせ、蒼白になることで酸欠や寒さを警告する。痛みやかゆみは、侵入者に対する緊急信号だ。
つまり、皮膚は戦場に立つ将軍であり、敵情を報告するスパイでもある。
さらに皮膚は、体の内部を代表して外界に語りかける。温もりや柔らかさ、肌触りで他者に安心感を与え、感情を伝える。
攻撃だけでなく、交渉もする臓器──それが皮膚である。
私たちはしばしば皮膚を「見た目」としてしか扱わない。だが、皮膚の一瞬の反応が、命を守る大仕事の証拠だ。
皮膚は今日も、静かに、しかし確実に、外の世界と戦い続けている。
作品名:外の最前線で戦う臓器、皮膚 作家名:タカーシャン