時間とお金、そして広告の罠
スマホを手にしたまま何気なく過ごす一日。
その画面に流れる広告を「たった数分」と思っているうちに、私たちは一年で驚くほどの時間を渡している。
一日五分でも三十時間、十五分なら九十時間以上。
時給に換算すれば何万円もの「見えない支出」だ。
時はお金よりも取り戻せない資産。
小さな“隙間”が積み重なって、人生のかけがえのない時間を削っていく。
なぜそんな仕組みが成り立つのか。
それは、私たちが広告を見て、時に買い物をするからだ。
広告は私たちの「注目」を資源としている。
無料アプリや動画サービスは、私たちの視線と引き換えに提供されているとも言える。
悪でも善でもなく、見る人がいるからこそ動く経済。
ただし、主導権を握るのは本来、私たち自身である。
さらに私たちは「お得」にも弱い。
ポイント還元という魔法の言葉は、気づかぬうちに財布を開かせる。
一%の還元に心が動き、必要のない買い物を積み重ねてしまう。
結果として、値引きや手数料、期限切れ、ルール改定などで還元分を上回る損を抱えることも少なくない。
ポイントは贈り物ではなく、販売促進のコストにすぎないのだ。
では、どう生きればいいのか。
広告やポイントを排除しきる必要はない。
ただ「どれだけ時間を差し出すか」「本当に必要な買い物か」を自分で決めること。
通知を減らし、ホーム画面から誘惑を外し、使った時間と支出を見える化する。
わずかな工夫で、奪われていた数十時間を自分の未来に戻せる。
時間は命そのもの。
お金は再び稼げても、時は二度と取り戻せない。
広告の海に身を置く時代だからこそ、自分の時間とお金を守る選択を、
今日この瞬間から始めたい。
作品名:時間とお金、そして広告の罠 作家名:タカーシャン