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タカーシャン
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novelistID. 70952
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足場を組むということ

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足場を組むということ

人を支えるとは、力まかせに引っ張り上げることではない。
それは一時的に、安心して立てる足場を組むことに近い。

足場は土台づくりだ。
その人が自分の力で立ち、次の一歩を踏み出せるように
必要な場所へ静かに組み上げる。
しかもそれは恒久的ではなく、
成長とともに外されることが前提だ。
支えながら離れていく――その儚さこそ支えの本質なのかもしれない。

足場が整えば、人は視界を得る。
高い場所から見渡すことで、
自分がこれから打つ釘や塗る色、
やるべき作業が自然と見えてくる。
やるべきことを奪わず、
「自分の課題」に集中できる舞台を整えるのが
支える側の役割だ。

そして人の人生は、家づくりによく似ている。
設計図を描く人、柱を立てる人、材料を運ぶ人。
一人では到底完成しない。
家族、友人、師、地域……
数えきれない手が、目に見えない足場を組み、
私たちは少しずつ自分という家を建てていく。

家が完成しても終わりではない。
季節ごとに修繕し、時には増築し、
再び足場を組み直す。
人もまた、生きる限り変化し続ける。
そのたびに誰かの支えを借り、
誰かを支える側にも回る。
足場を組む人も、また別の誰かに支えられている。

足場を組むと、やるべきことが見えてくる。
人はみな、家づくりのように支えられながら
自分という家を建て、住み続けていく。

支えるとは、相手の人生を代わりに歩むことではない。
その人が自分の速さで生きられるように、
一時の足場を組み、そっと手を放すこと。
その繰り返しの中で、
支える人も支えられる人も、
ともに完成へと近づいていく。