アップデート人間になるために
年齢を重ねるごとに、私たちは多くの経験を積み、知識や判断の引き出しを増やしていきます。
その一方で、気づかぬうちに「自分流」が固まり、未知のものを拒む壁をつくってしまう。
これは成功体験の副産物であり、誇るべきことでもあるのに、成長の足かせになることがあるのです。
だからこそ、私は「アップデート人間」でありたいと思います。
昨日までの自分さえ裏切っていく、柔らかさを持った人間に。
その第一歩は、正しさではなく“面白さ”で物事を選ぶこと。
「これは正しいか?」よりも「これ、面白い?」と自分に問いかけてみる。
すると、失敗さえも遊び心に変わります。
次に、小さな不便を歓迎する。
いつもと違う駅で降りてみる、見慣れないアプリを触ってみる、世代の違う人と食事をする――
ほんの少しの違和感が、心と脳をほぐす最高のストレッチです。
そして、過去の自分を上書きしていいと知ること。
「昔はこう言ったから」と自分を縛る必要はありません。
昨日の結論は今日のスタート地点。信念を守ることと、考えを進化させることは矛盾しないのです。
他者からの批評や反論も、ギフトとして受け取りたい。
意見の違いは自分のバージョンを更新するパッチ。
まずは「ありがとう」と一言。受け取り方が変わり、世界も広がります。
そして最後に、未完成を愛すること。
完成を目指さず、つづきを楽しむ。
アップデート人間とは、若さを装う人ではなく、昨日の自分さえ驚かせる人。
経験の厚みを守りではなく、踏み台にできる人。
今日の一歩は、昨日を裏切る小さな選択から始まります。
更新し続ける自分――その生き方こそが、人生をいつまでも新鮮にしてくれるのです。
作品名:アップデート人間になるために 作家名:タカーシャン