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タカーシャン
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novelistID. 70952
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お金の使命をめぐる小さな思索

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お金の使命をめぐる小さな思索

 財布の中の紙切れや、スマホに映る数字は、ただの記号にすぎないはずだ。けれどその記号があるおかげで、見知らぬ人のパンを買い、遠くの国の研究者が開発した薬を手に入れることができる。お金は、顔の見えない人と人をつなぐ「橋」だ。

 昔は、魚と米を物々交換するだけで暮らせたかもしれない。けれど、街は大きくなり、知恵や技術が複雑になるほど、互いの価値を測る秤が必要になった。お金は、その秤を持ち歩くための器。

 企業が新しい事業に挑むとき、未来への信頼を形にするものもお金だ。投資家が「この夢は実る」と預ける一枚一枚が、まだ見ぬ世界への約束状になる。だからお金は単なる手段を超え、希望のメッセンジャーでもある。

 けれど、その使命を忘れるとたちまち顔を変える。手段が目的へとすり替わり、集めることだけがゴールになった瞬間、格差や搾取が広がり、信頼は砂の城のように崩れる。

 思えば、お金とは「信じる力」を目に見えるかたちにしたものだ。信じる心があれば、数字は生き物のように血管をめぐり、社会に酸素を送る。信じる心を失えば、どれだけ札束を積んでも冷たい紙に戻るだけ。

 私たちは今日も、レジでカードを差し込みながら、その見えない橋を渡っている。お金が教えてくれるのは、「集める」ことよりも、「流す」ことの大切さ。誰かのために動くお金は、ただの記号ではなく、未来を照らすあたたかな灯りになる。