地球の体温計が振り切れるとき
温暖化は、まるで地球が発熱しているかのようだ。
海は南北の境界を曖昧にし、東北の港には本来は南国の海で踊るはずの伊勢海老が、豊漁旗を揺らすほどに集まってくる。
山では木の実が不作となり、食べ物を求めて熊が人里へと下りてくる。
空は突然、怒ったように大雨を降らせ、竜巻を巻き起こし、街を試すかのように暴れ回る。
まるで体調を崩した人間が、熱にうなされながらうわごとをつぶやくように、
地球もまた、気まぐれで予測不能な“症状”を訴えているのだろう。
私たちはその病床のすぐそばで暮らしている。
耳を澄ませば、風の音や波のうねりの中に、
「少し休ませてくれ」と訴えるかすかな声が聞こえるかもしれない。
小さな一歩でもいい。
エネルギーを減らす、食を見直す、自然と歩調を合わせる——
それは、地球に冷たいタオルをそっと当てるような、
私たちにできる看病なのだ。
作品名:地球の体温計が振り切れるとき 作家名:タカーシャン