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タカーシャン
タカーシャン
novelistID. 70952
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乱気流の時代を飛ぶ

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乱気流の時代を飛ぶ

飛行機が雲の隙間を縫うように飛んでいるとき、突然「ゴゴゴッ」と空気の壁にぶつかる。
シートベルトの締め付けが、重力以上の力で胸を押し返す。
これが乱気流。
パイロットは慌ててハンドルを切ったりしない。
むしろ“余計な操縦をしない”ことが安全の鍵だという。

私たちの今も、まさにそんな空の上だ。
国際情勢は一晩で色を変え、経済は朝のニュースでひっくり返る。
昨日の常識が今日には古新聞。
気候も、働き方も、人の心の動きも、誰も予報を当てられない。
これが「乱気流の時代」と呼ばれるゆえんだろう。

けれど、思えば人生そのものが最初から滑らかな青空ではなかった。
進学、就職、別れ、病気、家族の変化。
どの瞬間も小さな揺れと共にあった。
そのたびに私たちは、操縦かんを握りしめてきたつもりで、実は風に乗る方法を学んできたのかもしれない。

必要なのは、完璧な操縦ではなく“しなやかさ”だ。
計画は持ちつつ、予定変更を怖れない。
収入や役割や人間関係を一つに頼らず、分散しておく。
そして何より、自分の心の高度を確かめる習慣。
朝の深呼吸や、夜の静かな一杯のお茶。
そんな小さな儀式が、計器よりも正確に「いま」を教えてくれる。

乱気流を抜けた空は、思いがけず澄んでいる。
その青さに出会うために、
今日も私はシートベルトを確かめ、
ほんの少しだけ、体を風にゆだねてみる。