不完全だから、おもしろい
完璧を目指すほど、息が詰まる。
「もっと良く」「もっと上手に」と自分を追い立てると、
いま目の前にある景色がかすんでしまう。
ふと肩の力を抜いたとき、
世界は少し違う色で見えてくる。
振り返れば、自然界に“完全”など存在しない。
海の波は一つとして同じ形を持たないし、
山の稜線も日ごとに微妙に変わる。
人間もまた、その一部だ。
私たちが不完全なのは、むしろ当たり前なのだ。
欠けているからこそ、希望が生まれる。
足りないから、誰かとつながろうとする。
まだ空白があるから、未来を描き足せる。
この「まだ」という余白こそ、
人生を動かす原動力なのだと思う。
そして、不完全さはおもしろい。
計画どおりにいかない日が、
後から最高の思い出に変わることがある。
器のヒビが光を乱反射させるように、
私たちの失敗や回り道が
予想もしなかった輝きを放つ瞬間がある。
だからこそ、私は今日も
“未完成”のままで歩きたい。
完成を急がず、欠けを愛し、
自分の余白を大切にしながら――
その一歩一歩が、
かけがえのない物語を編んでいくのだから。
作品名:不完全だから、おもしろい 作家名:タカーシャン