小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

これでいいのだ――天才バカボンに学ぶ、人生の最強術

　赤塚不二夫の『天才バカボン』を読むと、ページをめくるたびに世界が少し軽くなる。バカボンのパパが発する「これでいいのだ」という言葉は、単なる口癖ではない。人生をまるごと肯定する、究極の哲学だと気づく。

　パパはいつも常識をひっくり返す。社会が「こうすべき」と並べるルールに、どこ吹く風とばかりに笑って挑む。その姿は一見バカげて見えて、実は誰よりも自由だ。自分の物差しで生きる人ほど、誰にも縛れない。これこそ最強の強さだろう。

　失敗しても平然と「これでいいのだ」。恥じない。落ち込まない。私たちは失敗を恐れて縮こまるけれど、失敗を味方にしてしまえば恐れるものは何もない。パパの無敵さは、恐怖を手放した人だけが持つ輝きだ。

　さらに彼は人を責めない。どんな騒動にも愛嬌をまとい、寛容な笑顔を浮かべる。その空気に触れると、周囲の人間までほっと肩の力が抜ける。強さとは、実は優しさの別名なのかもしれない。

　この哲学は、私たちの日常にそのまま活きる。完璧でなくていい。足りないままでいい。善も悪も、成功も失敗もあってこそ世界は面白い。過去や未来に縛られず、目の前の瞬間を遊ぶように生きる——それが“天才”の生き方だ。

　今日も小さな失敗をした自分に向かって、心の中でそっとつぶやく。
　これでいいのだ。
　そのひと言が、息苦しい世界をすっと開放してくれる。