スマホを耳に挟む人
街を歩いていると、たまに見かける。
スマホを耳と肩の間に挟み込み、首を少し傾けながら、せっせと動き回る人だ。
「そんなに忙しいのか」と思えば、片手はしっかり空いている。
空いてるなら、その手でスマホを持てばいいのに――と思うが、そこには不思議な人間の心理が隠れているのかもしれない。
両手を使いたいのか?
いや、片手はポケットで遊んでいたりする。
慌てているのか?
いや、意外と堂々としていたりする。
つまりこれは、“効率”でも“合理性”でもなく、
「なんとなくそうするのが自分にとって都合がいい」だけなのだろう。
おそらく本人も気づいていないクセ。
だけど、外から見れば、あれはちょっとしたコントのワンシーンに見える。
肩で押さえたスマホがズリ落ちそうになり、首をさらにひねって、ますます奇妙なポーズになる。
そこに現れるのは――
人間の忙しさよりも、むしろ“人間の可笑しさ”なのだ。