出会いから確信への決め手
そして関係は移ろいやすい。
そんな中で、人は時に「この人だ」と確信する瞬間を持つ。
その決め手はどこから来るのだろう。
外見の印象か。
周りの評価か。
社会からの信頼か。
経済力や地位という目に見える力か。
あるいは、限りない優しさや揺るがぬ信念という、目に見えない支柱か。
それとも──。
そうしたすべてを超えて、一瞬の「直感」なのかもしれない。
人は理性で判断しているように見えて、実は心の奥のセンサーが先に結論を出す。
それは長い歴史を生き抜くために培われた、生存本能の賜物でもある。
安心できるか。信頼できるか。ともに未来を歩めるか。
その見極めは、数字や肩書きよりも早く、静かに直感に託される。
けれど、直感だけで長い関係を支えることはできない。
周囲のまなざしも、社会の信頼も、経済の安定も、そして互いの優しさや信念も、確かに必要だ。
直感は扉を開ける鍵にすぎない。
その後を生き抜くには、現実の支えが伴わなければならない。
つまり、「この人だ」という確信は、直感と現実の両輪から生まれる。
一方に偏れば崩れ、両方がかみ合ったときにだけ、揺らぎの少ない絆となる。
出会いは儚く、関係は移ろいやすい。
しかしその中で確信を得ることこそ、人生のもっとも尊い瞬間なのかもしれない。
作品名:出会いから確信への決め手 作家名:タカーシャン