人生はタイヤの旅・シリーズ
はじめは
ぐらぐら揺れる 一輪車
不安定で 転んでは立ち上がる
やがて
二輪車になり 結婚というペダルをこぐ
家族が増えて 三輪車 四輪車
小さな命を乗せ 確かな進みとなる
荷を背負い トラックとなり
仲間と繋がり トレーラーとなり
重みを引き受ける強さを覚える
やがて
摩耗し すり減りながらも
衝撃を受け止め 道を走り続ける
最後には
鋼鉄の車輪をまとい
最強のモーターを従え
新幹線として 多くの人を乗せて進む
人生とは
地に足をつけて 着実に
摩耗と進化を繰り返し
やがて大きな道を支えること
人生はタイヤの旅 －飛行機編－
人生は ただ転がるだけじゃない
ある時 翼を得て 空へと向かう
最初は 小さなプロペラ機
ぎこちなく 風に揺られて進む
やがて 仲間を乗せる旅客機となり
重みを支えるタイヤは
誰よりも地面を知っている
離陸の瞬間 全ての力を受け止め
空へ押し出す 静かな支え
飛んでいる間 誰もその存在を意識しない
けれど 着陸のとき
最も頼られるのは いつも彼らだ
擦り減り 火花を散らしながらも
確かに地上へ導いてくれる
人生とは 飛行機のタイヤのように
人知れず支え 衝撃を受け止め
空を目指す者を
地に帰す者を
両方とも 守り抜く旅
人生はタイヤの旅 －船編（プロペラの旅）－
人生は 海をゆく船のようなもの
表に出るのは 立派な甲板やマスト
けれど 水面下で回り続けるのは
小さなプロペラ
潮に逆らい 波を砕き
ときに漂い ときに突き進む
その推進力は 人には見えない
ただ 音と泡と振動で
「確かに進んでいる」と知らせる
嵐の日は 激しく回され
凪の日は ゆっくりと流れに任せ
それでも止まらず
進む方向を決めるのは 舵と心
摩耗し 錆びつきながらも
船を未来へ押し出す
人生とは プロペラの旅
見えないところで回り続け
誰かを どこかへ運び続ける
決して華やかではなくとも
その回転が 大海を切り拓くのだ
人生はタイヤの旅 －ロケット編（燃え尽きても空へ）－
人生は 地上にとどまらず
最後には 空を突き抜ける旅
ロケットの推進力は
すべてを燃やし尽くす炎
その燃焼は 一瞬の輝き
けれど その一瞬で
重力を振り切り 大気を越える
燃え尽きるブースターは
使命を果たし 海へと落ちる
だが その犠牲があってこそ
衛星は軌道に乗り
未来を照らす光となる
人生もまた 同じだろう
燃え尽きても 無駄ではない
自らを燃料に変え
誰かを 未来へ送り出す
人生とは ロケットの旅
地に縛られながらも 空を夢みて
最後の炎で 空へ道を拓く
その残響は 時を超えて
星々の間で 静かに生き続ける
作品名：人生はタイヤの旅・シリーズ 作家名：タカーシャン