身内って、誰のこと?
「身内」と聞くと、なんだか温かくて安心できる響きがある。
ところが現実には、都会に住んでいると親戚に会うのはもっぱら冠婚葬祭。
まるで年に一度の特番ドラマみたいに、結婚式で華やかに集まり、葬式ではしんみりと再会する。
「来年は何のイベントで会えるんだろうね」と言いたくなるほどだ。
でも、冷静に考えると、その間の364日を支えてくれるのは誰だろう?
親戚よりもむしろ、職場の同僚やご近所さん、時にはSNSのフォロワーさんのほうがずっと身近。
「体調大丈夫?」とLINEをくれる友人の方が、遠い親戚のおじさんより“身内感”があるというのも不思議な話だ。
つまり、現代の「ほんとうの身内」とは、血のつながりではなく、気持ちのつながりで決まるんじゃないか。
親戚は「イベント用の身内」、
友人や仲間は「日常用の身内」。
二刀流の“身内制度”が、令和時代のリアルな姿かもしれない。
作品名:身内って、誰のこと? 作家名:タカーシャ