みてみてヤッターマン シリーズ
幼いころは
「みてみて!」
「やったー!すごいでしょ!」
全身で叫んでた
自己肯定のかたまり
自己表現の大噴火
だけど
いつのまにか
静かになっていく
「こんなこと言ったら変かな」
「迷惑かけないように」
気づけば
心のヤッターマンは
しょんぼりしてた
だから
いまこそ
心の奥の
みてみてヤッターマンを
もう一度
出動させよう!
「みてみて!」
「やったー!」
危なっかしくていいじゃない
それが生きてる証なんだから!
『おとなヤッターマンの冒険』
きょうも朝から
スーツにネクタイ
おとなヤッターマン、出動だ!
でも
ちょっと様子がヘン?
あれれ
名刺を配りながら
つぶやいてるよ
「……みてみて、今日も遅刻せずに来たよ」
「ほらほら、資料も自分で作ったんだ」
「やったー!クライアント、うなずいた!」
誰も気づかない
静かなガッツポーズ
だけど心のなかでは大歓声!
子どものころは
「やったー!」って飛び跳ねてた
いまは
まわりの目を気にして
ほめられるより
ほめるほうが多くなった
でもね
忘れないで
おとなにだって
“みてみて”が必要なんだ
見えないところでがんばってる
泣きたい夜を超えてきた
そのすべてに
「やったー!」を贈りたい!
おとなヤッターマンは
叫ぶんだ
小さな声で、でも本気で
「今日も生きのびたぞー!」
「よくやった!オレ!」
それはもう
奇跡みたいな冒険なのさ
『おとなドロンジョの逆襲』
かつてのドロンジョは
セクシーで
ずる賢くて
やられてばっかの悪役だったけど
いまや
おとなドロンジョ、再登場!
メイクはバッチリ
でも心はスッピンで勝負
ズルいどころか
めちゃくちゃ努力家
「やってらんないわよ、ほんと」
とか言いながら
今日も誰より早く出社してる
若いころは
モテてチヤホヤされてた
でもいまは
部下の相談にのりながら
こっそりトイレでため息
「悪役」なんてとっくに卒業したけど
「完璧なヒロイン」なんてまっぴら
わたしはわたし
強がり上等!
失敗?何回でもしてるわよ
それでも前を向く
それが、おとなドロンジョの流儀!
「ほんとはね、誰かに言いたいのよ」
「わたし、よくがんばってるって」
大丈夫
ヤッターマンがいなくても
あなたのなかのヤッターマンが
ちゃんと見てるよ
さあ行くわよ!
人生という名の
毎日バトルフィールド!
今日もきれいに
負けてやる!
——負けて、笑って、勝っていくのよ!
『おとなボヤッキーの再起動』
「や〜っておしまい!」って言われてた
ボヤッキーは
いつも失敗して
いつも笑われて
でも、めげなかった
——そんな彼が
いまはおとなボヤッキー
冴えないスーツ
うまく笑えない会議室
言いたいことは山ほどあるのに
タイミングがつかめない
「このアイデア、すごいと思うんだけどなぁ……」
口に出す前に
頭の中で10回ボツにする
自信、という名の回路は
とっくにショート気味
でも、やっぱり好きなんだ
つくること
考えること
人に役に立つものを編み出すこと
だから
今日もこっそり
家に帰って再起動!
深夜のキッチンで
アルミホイルと輪ゴムで新発明
「ストレス回収機・ボヤボヤZ!」
(※使用未確認)
笑われたってかまわない
うまくいかなくてもいい
自分の中の「おもしろい!」を
捨てたら終わりだもん
おとなボヤッキーは
言うのさ
「失敗作こそ、未来のタネだっちゃ」
誰かの夢になれなくても
自分の夢くらい、信じてみたい
さあて、次のアイデアで
人生を、ちょっとだけ面白くしてやるか!
作品名:みてみてヤッターマン シリーズ 作家名:タカーシャ