まだ色のない夢へ
親愛なる わたしへ
夢には色がないことがある
そのことを、あなたは ちゃんと知っていたんだね
誰にも気づかれずに
夜の中で その夢を見つめていた
きっと 何かをあきらめかけた日
世界が灰色に見えた時も
それは「もう終わった」わけじゃなくて
「まだ、塗っていないだけ」だったんだ
赤くしたければ
情熱を思い出せばいい
青くしたければ
涙をふいたあとに 空を見上げればいい
緑にしたければ
心が静かに再び芽吹くのを待てばいい
夢が無色なのは
あなたが 自分で色を選ぶため
この世界で たったひとつの
あなた色の絵の具で、ゆっくり ぬるため
どうか忘れないで
夢は完成品じゃなく、余白だということ
そしてあなたは
その夢を 生きなおすことができるひとだということ
さあ
今日も
「まだ色のない夢」のつづきを
あなたの手で そっと ぬってあげてください
きっと大丈夫
あの頃のあなたも、いまのあなたも
その色の種を、ちゃんと持っているから
心を込めて
もう一人のあなたより