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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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今こそな -燻銀の背中-

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《今こそな -燻銀の背中-》

「昔はな」って
言いかけたら
たいてい場がしらける

武勇伝なんて
飲み屋で酔った時だけでいい
若さの香りがしない話は
今の風には合わない

だから俺は
「今こそな」で生きることにした

誰かが困ってたら
黙って手を貸す
褒められたら
苦笑いでお茶をすする
怒りが湧いたら
深呼吸と胃薬でやりすごす

若い頃は
力こそ正義だった
声が大きけりゃ勝った
でも今は
言葉より
間のほうが響くと知った

昔の俺に言いたいことは山ほどある
でも
今の俺には
今の俺にしか出せない味がある

錆びついたわけじゃない
火にくぐって燻されたんだ

渋さは負けじゃない
遅れてきた本音だ

誰にも見せない涙が
心の底で熱を持ち
形を変えて
優しさになった

そうやって
俺は今日も
「今こそな」の背中で
明日を支える

黙って
ただ、生きる
それが
俺の誇り