誰かのせいで終わらせないために、空気と構造を正すという視点
ハラスメントのニュースが、またひとつ報じられている。
企業で、役所で、議会で──。
こうした不祥事の多くは、最終的に「加害者個人の処分」で幕を引く。
でも、それで終わらせていいのだろうか。
私たちが目を向けたいのは、「なぜそれが起きたのか」。
いや、もっと言えば──
なぜ、それが“止められなかったのか”。
セクハラもパワハラも、誰か一人の悪意だけで起きるものではない。
被害を受けても声を上げられない空気。
見て見ぬふりをする周囲。
相談しても動かない上司。
「やめておけ」とささやかれ、報復を恐れて沈黙する組織の構造。
そう、「個人」の問題ではなく、「空気」と「構造」の問題なのだ。
本当に変えなければならないのは、
その場しのぎの謝罪や処分ではなく、
「なぜ起きたか」を見つめる仕組み。
たとえば、ハラスメントが起きた際には、
外部の専門家による「組織風土監査」を義務づけること。
問題の根が組織にないかを、第三者の目で見直す機会を持つこと。
また、再発を防ぐためには、教育や研修、通報体制を含む整備を、
明確な基準と国の監督のもとで進めていく必要がある。
そして何よりも、通報した人や声を上げた人が守られる社会へ。
報復や不利益を受けることのない、確かな保護制度の法整備が欠かせない。
こうした仕組みを、企業や官庁だけでなく、
政党や議会、議員の事務所にも例外なく適用すること。
それが、信頼される政治の第一歩だと、私は思う。
「誰がやったか」ではなく、
「なぜ止められなかったのか」へ。
今、社会は新たな視点を求めている。
空気と構造を正すことこそが、本当の再発防止。
その一歩を、政治の力で踏み出してほしい。
責任の所在を個人に閉じ込めるのではなく、
責任の仕組みを、社会全体でつくっていくために。
作品名:誰かのせいで終わらせないために、空気と構造を正すという視点 作家名:タカーシャ