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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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タコの母に学ぶ、命の本気

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「タコの母に学ぶ、命の本気」

海の底、静かな岩陰にひっそりと潜むタコの母。
彼女は、たった一度の出産のためにすべてを捧げる。

10万個の卵を産み、食事もせずに巣穴で見守る。
卵がかえるまでの数ヶ月間、ずっと、じっと、ただ「命を守ること」だけに集中する。
そして、子どもたちがかえるその時を見届けて、母ダコは静かに命を終える。

私たち人間は、時に「自己実現」や「自由」や「成功」に夢中になり、
後に続く命のことを、どれほど真剣に考えているだろうか。
次の世代に何を手渡すのか――
それは物質ではなく、「生き方」や「思い」や「責任」なのかもしれない。

タコの母にとって、子育てとは自己犠牲ではない。
それは「命の意志」をつなぐ、最も純粋な行為だ。
何も語らず、何も教えず、ただ命を守る姿に、
私たちは「継ぐこと」「つなぐこと」の意味を問い直す。

現代社会では、「自分らしく」が合言葉になっている。
もちろん、それも大切だ。だが、
「自分の命が誰かの未来のためにある」
そんな覚悟や祈りを、どこかで受け継いでいきたい。

人間にとっての「後継者」とは、
血縁を越えた「希望の継承者」なのかもしれない。
子どもであっても、弟子であっても、後輩であっても、
誰かに想いを託すという生き方は、命をかけるに値する。

タコの母は、教えてくれる。
「死んでもいい」と思えるほど大切なものがある。
だからこそ、今この一日を、生きる意味があるのだと。