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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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聞くことから始まるまち

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『聞くことから始まるまち』

「困ったことがあったら、相談してね」
そう言われても、本当に相談できる人はどれくらいいるだろう。

私たちのまわりには、悩みや問題を「話さない」人が驚くほど多い。
いや、正確にいえば、「話せなかった」人たちだ。

子どもの頃に、話した内容が広まり恥をかいた。
勇気を出して相談したのに、「気のせいだよ」と一蹴された。
親にも先生にも、「がんばれば乗り越えられる」としか言ってもらえなかった。
そういう経験のひとつひとつが、心の扉に鍵をかけてしまう。

本当は、聞いてほしかっただけなのに。
 


相談する文化は、聞く文化から始まる。
そして聞く文化とは、「相手の声を排除せずに受け入れる文化」だ。

「それは間違っている」と正すよりも先に、
「あなたはそう感じたんだね」と受けとめること。
「なんでそんなことをしたの?」と責めるよりも、
「どうしてそんな気持ちになったのか、聞かせてくれる?」と心を寄せること。

相談できるまちには、「話せる人」よりも「聞ける人」が必要だ。
それも、完璧な答えを出す人ではなく、ただ黙って耳を傾けてくれる人。
答えなくてもいい、沈黙でもいい、
その人がそばにいるだけで、「ああ、自分はひとりじゃない」と思えるような。



わたしたちは、間違いもするし、迷いもする。
悩んで、傷ついて、それでも生きている。

だからこそ、悪いことも、弱いことも、排除しないまちにしたい。
困ったときに「ここなら話せる」と思える空気を育てていきたい。

「誰にも言えなかった」をなくしたい。
「話してよかった」と思える場所を増やしたい。



相談は、ただの言葉のやりとりじゃない。
それは「この世界に、自分の居場所がある」と確認するための営みだ。

だから私はこう信じている。
相談できるまちは、やさしさが循環するまち。
聞く力を育てることが、地域をあたたかくする第一歩。

小さな声を、静かに、大切に聞く。
そんな人がひとり、またひとりと増えたとき、
そのまちは、もうすでに希望の光を宿しているの