恋人の名前をつけた傘
新しい傘を買った日
ぼくは その柄(え)に
きみの名前を そっと書いた
アユミ
ユウジ
ミカ
トモヤ
まるで きみが
雨の日に 肩を抱いてくれるようで
心まで ぬれずにすんだ
置き忘れそうになっても
「アユミ、ごめん!」と すぐに思い出す
傘に名前をつけるなんて
ちょっと変かもしれない
でも 変じゃなくて、大事なことを思い出す魔法かもしれない
宣言:傘はただの道具ではない
雨の日にだけそばにいて
どしゃぶりにも耐えて
あなたを守ってくれる存在に
なぜ、名前がないのか?
傘に恋人の名前をつけよう
愛着が、忘れ物を防ぐ
思い出が、濡れた日をあたたかくする
恋人のいない人は
「未来の恋人の名前」をつけてもいい
それは夢を持つことだから
作品名:恋人の名前をつけた傘 作家名:タカーシャ