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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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あなたに生きろと言われたから、私は生きる

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『あなたに生きろと言われたから、私は生きる』

〈登場人物〉
美空(みそら):24歳。難病と闘う若き女性。生きる気力を失いかけている。
レイジ:彼女の「推し」。魂を燃やすような歌と、真っ直ぐな生き様で多くの人を鼓舞するアーティスト。



1. 死んでもいいと思っていた

治療も効かず、痛みが続き、身体は日に日に蝕まれていった。
泣く気力すら枯れた美空は、病室の天井を睨むように見つめながら、心の中でつぶやいていた。

「もういいよ… こんな人生、誰もいらないよね…」

だけど、スマホから流れるレイジのライブ映像だけは、唯一心を動かした。
叫ぶように歌い、怒鳴るように愛を叫ぶ男――
彼の言葉だけは、まだ胸に刺さった。



2. 本物が、目の前に現れた

ある夜。
病室のドアがバン!と勢いよく開いた。

「おい、美空ってお前か?」

――まさか。声が…その声が。

そこに立っていたのは、TV越しにしか見たことのないレイジだった。
鋭く、荒々しく、でも真っ直ぐな目で彼女を見下ろしていた。

「お前さ、死にたいとか思ってんの? …ふざけんな」



3. 叩きつけられた魂

「お前の命、今ここで捨てんのかよ!?
それって、お前を産んだ人にも、ここまで治療してくれた人にも、
何より――応援してきた俺の気持ちにも、全部背くってことだろ?」

レイジは声を震わせながら言った。

「…俺は、お前に生きててほしい。
お前の涙も、叫びも、震えも、
ぜんぶ歌にして、伝えてくれよ。
お前にしか、できないことがあるんだよ!」

そして、彼は突然、美空を強く抱きしめた。

「生きろ。頼む。
俺の歌、あんたのためにある。
あんたの命、あんたのためだけじゃない。
俺が、見てる。ずっと。」



4. 生きる、理由ができた

その夜、美空は初めて心の底から泣いた。
泣きじゃくって、喉が枯れるほど嗚咽して、
レイジのジャケットを握りしめて叫んだ。

「生きたい!生きるから!置いてかないで…!」

それから数週間。
美空の体に奇跡が起きた。
薬の効果が現れはじめ、食欲が戻り、笑顔が増えていった。



5. 再会のステージ

半年後。
美空はレイジのライブ会場にいた。
ファンで埋め尽くされた最前列で。

彼女を見つけたレイジは、マイク越しに叫んだ。

「そこにいるお前に…伝えたい。
お前が生きてるだけで、世界は変わる。
だから俺は、歌う!」



〈命に火をつけたのは〉

愛とは、優しいだけじゃない。
激しく、ぶつかり、魂ごと抱きしめるものだ。
「生きろ」と言ってくれる誰かがいる限り、
人は、もう一度立ち上がれる。




『そして、気づいた。本当の“オシ”は――自分だった』

6. レイジがくれた炎は、私の中に宿った

美空は生き延びた。
あの日、レイジに激しく抱きしめられた感覚は、今も体の奥で燃えている。

だが、ある日ふと気づく。
彼がくれたのは、「燃えるきっかけ」だった。
「燃やし続けるのは、自分自身」だと。



7. 本当の“推し”は、私の中にいた

リハビリの鏡の前で、立ち尽くした自分に問う。

「私は、誰に期待してたの?
誰かに認められたくて、救われたくて、
でも…ずっと私の中に、“私を待ってた私”がいたんだ」

涙が一粒、鏡の自分に落ちた。

「私は私を推す。
私が生きる意味を、誰より信じてあげる」



8. “自分推し”が始まると、すべてが変わった
• 病室に貼っていたレイジのポスターの隣に、
 今は自分の目標を書いた紙がある。
• 推し色の服ではなく、自分の“本当の好き”を着て出かけるようになった。
• 周囲の励ましより、自分の中の声に耳を澄ませるようになった。

「お前、今日もかっこいいじゃん」
鏡の中の自分に、そう言えるようになった。



9. 使命が見えてきた

病気になったのも、苦しんだ日々も、
無駄じゃなかった――そう信じられる日がきた。

「私が乗り越えたから、今、誰かの希望になれる」

講演を頼まれたり、SNSで励ましのメッセージを発信したり。
“救われた人”から、“救う側”へ。



10. 再びレイジのライブで…

数年後、美空はスタッフとしてレイジのチャリティライブを手伝っていた。

「…お前、すげぇな。あのときとはまるで別人だ」

レイジが控室でそう言った。

美空は静かに笑って、答えた。

「あなたは、火をくれた。
でも、その火を灯し続けたのは、私自身です。
私が、私の“推し”なんです」

レイジはしばらく黙った後、拳を突き出した。

「最強の“推し活”だな。お前、マジかっけぇよ」



〈本当の「推し」とは、自分の命を信じること)

誰かに励まされ、愛され、憧れた日々。
でも、最終的にその命を守り、希望を信じ抜くのは――
自分自身だけだ。

「本当の推しは、自分だった」
その気づきは、人生最大の革命だった。