少しずつ芽吹き直す人生
人生は、一度きりではない。
けれど、「やり直す」という言葉には、どこか抵抗を感じる人もいるだろう。
うまくいかなかったことを思い出すたび、
「もうダメかもしれない」と、心がつぶやくこともあるかもしれない。
でも、人生は「やり直す」ものではなく、
少しずつ芽吹き直していくものなのだと、私は思う。
木々が冬を越えて、新しい葉をつけるように。
人の心も、折れてしまった枝の先から、また小さな芽を出すことがある。
それは急には見えない。
けれど、確かに育っていく。
静かに、けれどたくましく。
若いときほど、すべてを急ぎたくなる。
早く成功したい、認められたい、意味のある日々を送りたい。
焦る気持ちも、悔しさも、全部よくわかる。
けれど、本当に大切なものは、焦らないと育たない。
そして、焦っては育たない。
うまくいかない時期があったとしても、
それは「終わり」じゃない。
それは「根を張る時期」だ。
地中でじっと、見えない力を育てている。
誰の目にもとまらないけれど、
その根があるからこそ、いつか大きな幹になり、
葉を広げ、花を咲かせ、実を結ぶ。
あなたが今、暗い土の中にいるように感じているなら、
どうか思い出してほしい。
それは「敗北」ではない。
それは「準備」だ。
人生は、何度でも芽吹き直せる。
たとえ誰かに折られても、
自分で投げ出しそうになっても、
また新しい芽は、生まれる。
一歩進んで、止まってもいい。
また戻ってもいい。
あなたが心から望むなら、
何度でも、少しずつ――
芽吹き直していけばいい。
それが、あなたという一本の人生の、
本当の強さになるのだから。
作品名:少しずつ芽吹き直す人生 作家名:タカーシャ