信念の人
信念の人の思いは、
ただ熱く語られるものではない。
それは、あるがままの姿に宿る。
自分を飾らず、背伸びもせず、
透明な琥珀のように、
時間の中にそのまま封じ込められた真実。
人を惹きつけるのは、言葉ではない。
磁石が鉄を集めるように、
その信念の重みが、人の心を動かしてゆく。
方諸(ほうしょ)の水が、ひとつの流れに集うように、
信念は、見えぬ場所で人をつなげる。
きれいな水面に、月が映る。
月は語らず、ただそこにあるだけ。
それでも、その静けさに心は揺れる。
信念の人もまた、語りすぎない。
けれど、歩む背中には、月と同じ光がある。
影が体から離れないように、
その生き方は、思いの影をまとっている。
どこにいても、その姿は消えず、
静かに響く。
願いはやがて、祈りへと昇華し、
その祈りが奏でる音に、
世界は応えようとしている。
目には見えないその響きこそ、
人の奥深くに沁み入る、
真の影響力(ちから)。