居なくなった人たち
その2
筋書が事実通りだとすれば、芙美子は常時男に心を寄せていないと生きていけない体質と精神状態だというのが、貧乏の上に更なる苦痛を強いられていると思われる。
そこに私は歯がゆさを覚える。
芙美子自身、今度結婚するときは作家とはしないわという会話があった。
無から有を作り上げていく作家の脳はかなり追い詰められ、傍にいる者に当たり散らす場面が多い。
女は甘えてわがままをいうがその言動はしれたもので、それに反して男は自分自身の精神状態のいらいらを同居の相手にぶつけ、ひどいと思えるのは何かをひっくりかえしたり暴力を振るったりしてバランスをとっているとしか思えない。
この男女の差は現代社会でも変わりはない。
つづく