毎日、生まれ変わる
本来、人は毎日――
少しずつ、生まれ変わっている。
昨日と今日では
体の細胞も、知識も、
見た景色も、心に触れたことも違う。
けれど、なぜだろう。
「心だけは変わっていない」
そんな気がしてしまうことがある。
それは、年齢を重ねるにつれて、
変化を避けるようになるからだ。
新しさより、慣れ親しんだものに安心する。
昨日の延長線上に、今日を置いてしまう。
だが、たった一つの出会いが
心の奥に火をともすことがある。
言葉に出会い、人に出会い、
自然に、音楽に、絵に――
何かがふと、心を動かす。
そのとき、私たちは
違う自分を生き始める。
新しい問いをもち、
新しいまなざしで世界を見る。
そうして、私たちはまた、
「今日の自分」として生きていく。
生まれ変わりは、劇的ではなく、
静かに、やさしく、訪れるものなのかもしれない。