来客という扉
玄関のチャイムが鳴るとき、
そこにはいつも「人とのつながり」がやってきます。
訪ねてくるのは、家族、親戚、友だち、近所の人、業者さん……
ときには、思いがけない再会や、まだ出会ったばかりの人も。
自宅という空間に誰かを招くこと、
それは心の奥にある扉を、少しだけ開くということ。
お茶を出す
靴をそろえる
何気ない会話をかわす
そのひとつひとつのやりとりが、
ふしぎなほど、人と人との距離をちぢめていく。
最初はただの「来訪者」だった人が、
気づけば「友だち」になっていたり
「頼れる存在」になっていたり
ときには、人生の転機に関わる相手になることもある。
来客は、「点」として現れ、
時間をかけて「線」となり、
やがて「面」として、私たちの人間関係を広げていく。
とくべつなことをする必要はありません。
ただ笑って「いらっしゃい」と言うだけでいい。
その一瞬が、つながりのタネになる。
そしてそのタネは、いつか芽を出し、
人生をあたためる、あたらしい物語へと育っていくのです。