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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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ポストにすんだトリ

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童話『ポストにすんだトリ』

ある春の日の朝、しょうたは、いつものようにおかあさんに言われて、家の前のポストを見にいきました。

「てがみ、きてるかな〜」

パカン。

ポストのふたをあけたしょうたの手が、とまります。

「……え? なにこれ?」

ポストのなかは、みどり色のふわふわしたものでいっぱいでした。
てがみなんて、どこにもありません。

「なんか、こけみたい……」

びっしりと しかれた みどりのふわふわ。
まるで、ふとんみたいに、やわらかそう。

しょうたはちょっと こわくなって、おかあさんをよびました。



「だれかの いたずらかしらねぇ……。なにかの しらせ、かなぁ?」

おかあさんも 首をかしげます。
おとうさんも しんぱいして、スマホで「ポスト こけ」って しらべました。

すると、すぐに こたえが出ました。

「トリが ポストに すをつくることが あります」

「ええっ!? トリ!?」
しょうたも、おかあさんも、びっくり。



そのとき、近くの木のえだから、
ちいさな トリが すーっと とんできました。

それは まるっこくて、茶色い 小さなスズメみたいなトリでした。
トリはポストのそばまでやってくると、じっとなかをのぞいて、すぐにまた飛んでいきました。

しょうたは、そっとつぶやきました。

「……やっぱり、トリの しわざだったんだ」



それからしょうたは、トリがくるたびに、そっと見まもりました。
トリは、なんどもなんども、くちばしで みどりのこけや、小さなえだを はこんできました。

ポストのなかは、すこしずつ ふっくらとしていきます。

「トリさん、ここが すきになったんだね」

しょうたは、てがみがこなくても、
ポストをあけるのが たのしみになっていきました。



ある日、おとうさんが言いました。

「そろそろ、ポストを つかえないと こまるなあ……」

しょうたは、すこし さみしくなりました。
でも、トリのために なにかしてあげたい、と思いました。

しょうたは、おとうさんに たのんで、庭の木のそばに「トリの おうち」をつくってもらいました。
小さな木のはこに、ポストのこけを すこし うつしてあげました。



それからまもなく――
トリはポストにこなくなりました。
でも、木のほうから、ちいさなチュンチュンという鳴き声が きこえてきました。

木のあなをのぞくと、
ちいさなトリが、あたらしいおうちで ねむっていました。

しょうたはにっこりして、つぶやきました。

「よかったね、トリさん。ここも きっと、あんしんできる ばしょだよ」



作品名:ポストにすんだトリ 作家名:タカーシャ