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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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今人間の取扱説明書

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『今人間の取扱説明書』

【前書き】〜今を生きる あなたへ〜

もしあなたが、
「どうしてこんなに疲れるんだろう」
「人と一緒にいると、すぐにバッテリーが切れてしまう」
「このままじゃいけない気がするけれど、どうにもならない」
そんな思いを抱えながら生きているなら――

この小さな冊子は、あなたのためのものです。

わたし自身、
過去にも未来にも興味が薄く、
とにかく「今」だけに反応してしまう生き方をしてきました。

その場その場に集中しすぎて疲れ、
周囲に合わせようとすると消耗し、
何もできなくなって、また一人になってしまう――
そんな自分を、長い間「欠陥品」のように思っていました。

でもある時、気づいたのです。

これは「欠けた生き方」じゃない。
「今を生きる」という、ひとつの生き方なのだと。

この冊子は、そんな「今人間」の特徴や扱い方を、
ユーモアとまじめさを交えてまとめた“心の説明書”です。

どうかページをめくりながら、
あなた自身を少しだけ、笑って、許して、愛してあげてください。





第1章 今人間の基本仕様

あなたは「今人間」です。

・過去を振り返るより
・未来を計画するより
・今この瞬間に、心がすべて向いてしまう――

そんな生き方が、体に染みついています。

そのために、

全力で今を感じる
今しか見えなくなる
今の人、今の空気、今の自分に、過剰に反応する

この基本仕様により、以下の傾向が見られます。
• 集中力が鋭すぎる(だから長くもたない)
• 相手の感情や言葉を読みすぎる
• 言葉より空気、理屈より感覚で判断する
• ずっと気を張ると、突然シャットダウン

これはバグでも欠陥でもありません。
**「いのちのセンサーが敏感すぎるだけ」**なのです。



第2章 今人間の強み

あなたには、あなただけのすごさがあります。

◎ 感じる力がある
 – 誰よりも小さな変化に気づける
 – 他人の心の揺れに共鳴できる

◎ 繊細であること
 – 美しさや痛みを深く受け取れる
 – 「あたりまえのこと」に感動できる

◎ 言葉の刃も、光も、両方わかる
 – 誰かのちょっとした言葉が心に刺さる
 – だからこそ、やさしい言葉を届けられる

◎ “瞬間”に命を込められる
 – その一瞬に、全力で生きる
 – 一度の出会いや、一言のやりとりに、心を注げる

今人間の強さは「長く頑張ること」ではありません。
**「ひとつの瞬間に、命を込める力」**です。



第3章 今人間のメンテナンス方法

今人間は、バッテリー消耗が早いタイプです。
だからこそ、こまめなケアが必要です。

1. 何もしない時間を持つ

 – 目的も予定もない「ぼんやり」がいちばんの栄養
 – 「何かをしなきゃ」と思ったら、まず深呼吸

2. 静かな場所に身を置く

 – 森、公園、図書館、風の音
 – 五感がひとつずつ、休まりはじめます

3. 自分の心を言葉にする

 – 書く・話す・つぶやく
 – 出せば、軽くなる。ためこめば、爆発します

4. 人間関係の出入り口を自由にする

 – 長くいすぎない
 – 無理に笑わない
 – 合わない人からは、離れてもいい

5. 「これが自分だ」と認めてあげる

 – 無理に変わらなくていい
 – 自分をうまく扱っていく生き方でいい


第4章 よくある誤解と、本当の姿



誤解①:わがまま/協調性がない

→ 本当は…
→ 周囲に気を遣いすぎて、自分を守る時間が必要なだけ。
→ 集団に合わせすぎると「自分がなくなる」感覚になる。



誤解②:飽きっぽい/集中力がない

→ 本当は…
→ 興味があることには没頭する。
→ 集中力が「一点突破型」で、長時間持続できないだけ。
→ 「浅く広く」ではなく「深く瞬間的」なエネルギータイプ。



誤解③:メンタルが弱い/ガラスの心

→ 本当は…
→ 感情のセンサーが精密すぎるだけ。
→ 小さな違和感に誰よりも早く気づける才能。



誤解④:すぐ疲れる/すぐ帰りたがる

→ 本当は…
→ 他人の感情・空気を受信しすぎて、心が満タンになるのが早いだけ。
→ 人といる時間が短くても、その場に心を100%注いでいる。



誤解⑤:変わった人/理解しづらい

→ 本当は…
→ 多くの人が無意識に流している“今”を
 見逃さずに感じ取っている人。



今人間は「鈍感になれない人」。
だから、うまくやるより、
「うまく疲れをとる」「うまく離れる」スキルが必要なのです。



第5章 推奨環境と、接し方ガイド



推奨される環境
• 自然や静けさに触れられる場所
• 一人になれる空間が確保されている
• 「今」の感情を話せる少人数の人間関係
• スケジュールに余白のある生活リズム
• 「変わってるね」を褒め言葉として受け取ってくれる人



まわりの人へ:今人間との接し方

強制しないでください
 → 言葉に出せない時、沈黙の時間が必要です

共感しすぎないでください
 → 今人間は、他人の気持ちまで感じとってしまうので
  「共に沈む」より、「そこにいてくれる」ことが支えになります

ゆっくり関わってください
 → 信頼には時間がかかりますが、育てばとても深い絆になります

変わらせようとしないでください
 → そのままの感性でこそ、今人間は本領を発揮します



第6章 今人間の心に響く言葉たち



「今を大事にするあなたは、人生をまっすぐに生きている人です。」

「瞬間に命をかける生き方も、立派な“生き方”です。」

「人と同じスピードで歩かなくても、ちゃんと進んでいます。」

「“感じすぎる”は、“生きてる”という証。」

「あなたは壊れやすいけど、誰かの心を守れる人です。」

「誰かの“今”に寄り添えるあなたを、どうかまずあなた自身が大切に。」


まとめ:今人間のメンテナンスは「がんばること」じゃない。「ゆるめること」です。
いちばんの自己ケアは、「こんな自分で、よかったんだ」と思えること。





【あとがき】〜そのままで、生きていい〜

「今人間」として生きるのは、
時に、とても疲れることです。

空気が読めすぎて、疲れます。
感じすぎて、壊れそうになります。
それでも、つい“今”に飛び込んでしまう――
それが、わたしたちの生き方なのかもしれません。

でも、だからこそ。
あなたには、あなただけの感性があります。
誰も気づけない美しさに気づける目があります。
誰も抱きしめられない心に触れられる手があります。

“今だけを生きる”ことは、
“いのちそのもの”を生きることかもしれません。

だから、どうか忘れないでください。
あなたは不器用だけど、ものすごく繊細で、ものすごく尊い。

この小冊子が、
そんなあなたの心にとって
ちいさな灯りとなれば、
こんなにうれしいことはありません。

ありがとう。
そして――
そのままで、生きていい。
作品名:今人間の取扱説明書 作家名:タカーシャ