そして、霧が晴れる
泣きたいわけでも
怒っているわけでもなく
ただ、重たいだけの朝がある
言葉にならないもやもやが
胸の奥で静かに渦を巻いて
誰にも見せられずに じっと立ち尽くす
「だいじょうぶ?」と聞かれても
うなずくことしかできない
自分でも 理由がわからないから
でもね
それでも 日は昇る
誰かの声
一杯のあたたかいお茶
ささやかなやさしさが
曇った心に そっと触れる
ゆっくりと
少しずつ
視界がひらけてくる
風が動き
光が差し込むとき
そう
そして、霧が晴れる
理由のない不安も
かたちのない悲しみも
すべてを抱いたまま
前を向ける瞬間がある
それはきっと
心が生きている