『ほやほやのホヤはヤホーで検索』シリーズ
ほやほやの気持ちは
だれかに たべられちゃう前に
そっと つたえたい
ホヤみたいに
中身は しっかりしてるんだよ
見た目じゃ わかんないよ
ヤホーで検索しても
出てこないよ
ぼくの ほんとの 気持ちは
それでも しらべたいなら
こころで 見つけて
『ほやほやのホヤはヤホーで検索』絵本風
ほやほやのホヤくんは、
しずかな海の奥に住んでいます。
いつも、ぼーっとしているように見えるけど、
じつは、夢がいっぱい。
(サンゴ礁の奥でひっそりたたずむホヤくん)
ある日、カニのヤホーちゃんがやってきました。
「ねぇホヤくん、あなたって、なに?」
ホヤくんは答えます。
「ぼくのことは、ヤホーで検索してもわかんないよ」
ヤホーちゃんはビックリ!
「検索しても出ないなんて、そんなのあるの!?」
ホヤくんはにっこりして、こう言いました。
「ぼくのなかには、ことばにできないものがあるんだ」
「夢とか、きもちとか、
まだ名前もついてないんだ」
(ホヤくんの体のなかに光の玉のような“夢”がいくつも描かれる)
ふたりはイルカ先生に会いにいきました。
ヤホーちゃん:「ホヤくんのなか、調べてよ!」
イルカ先生:「検索できないことも、大事なんだよ」
(優しい目のイルカ先生が泡を吹いている)
ヤホーちゃんは考えました。
「名前がないと、伝えられないじゃん」
ホヤくん:「でも、感じることはできるよ」
(ふたりが沈黙して、そっと寄り添っている場面)
ふたりはナマコじいちゃんのところへ。
ナマコじいちゃん:「おまえさんら、ええ話しとる。
検索よりも、観察、共感、想像じゃ」
(海底に寝そべっているナマコと、驚くふたり)
その夜、ヤホーちゃんは、
ホヤくんのとなりで、検索しない時間を過ごしました。
なにも言わない、なにも調べない。
でも、なんだかあたたかい。
ホヤくんは、ぽつりとつぶやきました。
「わかってくれて、ありがとう。
名前がなくても、つながるんだね」
こうしてふたりは、
検索では出てこない、
**本当の“友だち”**になったのでした。
作品名:『ほやほやのホヤはヤホーで検索』シリーズ 作家名:タカーシャ