童話 こころのこえは メロディー
むかしむかし、ひとりの おとこのこが いました。
なまえは「ソウタ」。
ソウタは あまり じぶんのきもちを いわない おとこのこ。
うれしくても、かなしくても、いつも「べつに…」といってしまいます。
ある日、そらのうえから ちいさな おとのようせいが おりてきました。
ようせいのなまえは「メロ」。
メロは ソウタの こころのなかに すみついて、
こっそり こういいました。
「ソウタのこえはね、こころのメロディーなんだよ。
“べつに”っていったとき、ほんとは さみしいの、わかってるよ。
でも、“やったね!”っていったときは、きぼうで いっぱいになるよね!」
ソウタは びっくりしました。
「どうして そんなこと わかるの?」
メロは にっこり わらいました。
「こえには こころが のってるの。
だからね、やさしいことばや うれしいこえは、
まわりのひとの こころも ぽかぽかに するんだよ。」
それからソウタは、すこしずつ
「ありがとう」「うれしい」「すごいね!」って
ことばに してみるようになりました。
するとね、クラスのともだちが ふえたんだよ。
みんな、ソウタのこえに、あたたかい メロディーを きいたのかもしれないね。
そしていまでも、ソウタの こころのなかでは
メロが そっと うたってる。
「あなたのこえは こころのうた。
きょうも あしたも だれかを えがおにするメロディー」
作品名:童話 こころのこえは メロディー 作家名:タカーシャ