目を閉じている28年
人生の
三分の一を
人は
目を閉じて生きているという
眠りながら
夢を見て
まばたきの瞬きに
光を手放し
悲しみに
目を伏せ
祈りに
瞼をそっと閉じる
気づけば
二十八年分の時を
私は
“見えない”まま過ごしていた
けれどそれは
闇ではなく
もう一つの世界
音の波紋
風のやさしさ
胸の奥で鳴る 心の声
見えないからこそ
感じられるものがある
見えないからこそ
信じられるものがある
ひとの人生には
“盲目の季節”が
こんなにも
静かに、深く
流れているのだ
作品名:目を閉じている28年 作家名:タカーシャ