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タカーシャ
タカーシャ
novelistID. 70952
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バスの窓に映った恋

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〈バスの窓に映った恋〉

偶然乗った高速バス
知らない街へ向かう途中
あなたが隣に座った

イヤホン片耳はずして
「景色、きれいですね」って
笑った顔に
不意に息をのんだ

知らなかった
こんなふうに
胸がふわりと浮かぶなんて

降りるとき
お互い手を振ったけど
名前も聞けなかった

でもきっと
あの日から
わたしの「好き」は
あなたの姿をしてる



〈忘れられない横顔〉

名前も知らない
関係もない
もう二度と会わないって
わかってるのに

なぜだろう
バスの窓に映った
あの笑顔が
夜になると浮かんでくる

肘をついて
外を見つめる
その横顔のしぐさ

なんでもない仕草だったのに
どうしてあんなに
やさしく見えたんだろう

もう会えないからこそ
心に残って
忘れられない

――ねぇ、もう一度だけ
見られるなら
あの瞬間を
静かに胸にしまいたい



〈ふたたびの窓辺〉

季節はいくつも巡って
すっかり忘れたふりをしてた

でも
駅のカフェで
目が合った瞬間
すべてが音を立ててよみがえった

あの高速バス
あの夕陽
あの、なんでもないしぐさ――

「…ひさしぶり、かな?」
少し戸惑うように笑うあなたは
やっぱり あの時のまま

私の胸の奥に
そっと居座っていた
あの日の面影が
今、目の前にいる

ねぇ こんな偶然って
きっと偶然じゃないよね

また始まるかもしれない
そんな気がした
あの窓辺で ふたり並んで
今度はゆっくりと
同じ景色を見ながら



〈やっぱり、素敵だった〉

あのバスで出会って
名前も知らず
ただ横顔に心を奪われた日から

時が流れて
偶然、また会えた奇跡

でも
近づくほどにわかる
あなたは
私の「届かないまま」が
いちばん綺麗なんだって

優しい声も
何気ないしぐさも
昔と変わらず
心をくすぐったけれど

今の私は
あなたの物語の脇役でいい

ふと目が合って
あなたが笑ってくれた
それだけで
また明日が少し明るくなる

きっと私は
これからもずっと
あなたを
“素敵な人だった”って
胸の奥にそっとしまって
生きていく


〈憧れのままで〉

ほんとはね
あなたも気づいてたでしょう?
あのバスの中
ふと重なった視線の温度

偶然じゃなくて
奇跡だと、
お互い感じてたこと

再会した日
ほんの少し ためらうような微笑み
それが すべてを語っていた

伝えたかった
手を伸ばしたかった
でもね――
それでも私は
あなたにとって
“憧れ”でいたかったの

現実になれば
きっと
こわれてしまう儚さも
知ってたから

だから今でも
胸の奥で
あなたは少し遠くにいて
とびきり優しいまま

叶わなかったんじゃない
叶えなかっただけ

そのままのあなたが
いちばん
美しいから

作品名:バスの窓に映った恋 作家名:タカーシャ