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タカーシャ
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novelistID. 70952
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『宇宙の旅人 ―猫の窓辺から―』

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『宇宙の旅人 ―猫の窓辺から―』

窓辺に座るのが、わたしの日課。
人間たちは今日も、忙しそうに時間の中を歩いてる。
あの男の人は、毎朝ぎりぎりまで寝て、
女の人に「遅れるよ!」って言われながら、慌ててパンをくわえて出ていく。

でもね、
その直前、ふたりはかならず目を合わせる。
ほんの1秒でも。
その“目の奥”がね、キラッと光るんだ。
あれは…命の光だと思う。

人間って、ときどき「もうダメだ」ってつぶやく。
すると部屋の空気が重たくなる。
ソファのクッションの下まで、ため息がしみ込んでいく。
そんなとき、わたしはそっと膝の上に乗ってみる。
にゃあ、とも言わず、ただ静かにいる。

するとね、心のどこかがふっと緩むの。
不思議ね、人間って。
何十兆個の細胞でできていて、
その一つひとつが、気持ちで光ったり、曇ったりするんだもの。

わたしたち猫は知ってる。
生きるって、ただ食べて眠ることじゃない。
大好きな人の隣にいること。
誰かのぬくもりを感じながら、今日も生きているって、そう思えること。

この世界は止まらずに動いてる。
水も、光も、空気も、言葉も――
そして愛も。

人間も、猫も、もしかしたらあの石ころさえも、
みんな宇宙の中の小さな旅人なんだと思う。
出会いと別れをくり返しながら、命をリレーしていく。

明日もわたしは、窓辺に座るだろう。
ふたりが帰ってきたとき、
「おかえり」の代わりに、しっぽをふるかもしれない。

宇宙のどこかで誰かが言ってたわ。
「愛って、命をあったかくする魔法」だって。

――だからわたしは、今日もこの星で、生きている。