「わたしは、わたしを超えていく」
何度も思った。
「もうダメだ」って。
朝が来るのが怖かった。
起きて、何かを始めるのが怖くて、動けない日もあった。
夢を語れば笑われ、黙れば置いていかれた。
心なんて、もうぐちゃぐちゃで。
それでも、生きてた。
小さな一歩が、大きな希望になるなんて知らずに。
ただ「終わりたくない」って、その気持ちだけで歩いてた。
叫びたいくらい苦しかったあの日々が、今になってやっと意味を持ちはじめた。
涙でにじんでた景色の向こうに、こんなにも鮮やかな勝利が待っていたなんて。
私は、不安に負けなかった。
不安と一緒に、ここまで来た。
そして今、私は胸を張って言える。
これは敗北の物語じゃない。
これは、生き抜いた人間の、静かで壮絶な勝利の記録だ。
作品名:「わたしは、わたしを超えていく」 作家名:タカーシャ