話されなかったこと
話すって、なんだろうと思う
伝えるため? 分かってもらうため?
それとも、自分の輪郭を確かめるため?
人はたぶん
いろんな理由で言葉を選ぶ
「なんでも話していいよ」って
そう言ってくれる人の優しさを
疑うつもりはないけれど
それでも
人はなんでも話せると言う人でも
なんでもは話していない
話さないことは
隠しているとは限らなくて
まだ言葉にならないだけだったり
誰にも言えないまま
自分の中で折り合いをつけようとしてたり
わかってもらえないかもしれない
そう思うだけで
声は喉の奥で止まる
沈黙って不誠実に見えるかもしれないけど
実は
一番誠実な答えだったりする
何も言わない夜に
耳をすませてみると
本当は伝えたかったことたちが
小さく呼吸している
ひとつ、またひとつ
声にならなかった気持ちが
そこにある
すぐそばに
気づいてほしいと
願っている