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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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夢のピザ(続・おしゃべりさんのひとり言194)

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夢のピザ



>薄く伸ばした生地の上に、ピザ用チーズをパラパラ、
その上にはバジルじゃなく、ミントの葉っぱをたっぷり載せる。
>次にイチジク一個を皮ごと5ミリ厚でスライスして、
さらにブルーチーズと一緒にピザ生地全体に散りばめる。
>それを蓋をしたフライパンでしっかり焼く。
(ちゃんとしたオーブンを持ってないので)
>焼き上がれば、くるくると全体にハチミツを回しかけ、
お好みで、黒胡椒をふる。
これは僕のお気に入りレシピです。それにはウーロン茶がよく合います。
8~9月頃にしかイチジクが売ってないので、年に一回くらいしか作れないけど。

それは昔からよく見る、現実とかけ離れた中東の街が舞台の、目が覚める直前のまどろみの中の夢での出来事。
この夢にはなぜかいつも、イチジクが出てくるんだ。

僕は以前、仕事でよく中東に行っていたけど、今なんでそんな街にいる夢をみるのかな?
現実の中東の近代的な街とは違って、アラビアンナイトの世界のような街並みだけど。
何度も繰り返し見るので、その夢の中の街の地理にはかなり詳しくなってしまった。
都度、状況は変化してるみたいだけど、しっかり記憶している訳でもないので、今のうちに忘備録としてメモしときます。

【※ ↓ここからは夢の世界】
砂埃の中、大きな駅が街の中心にあって、高層ホテルはその西側。
いつも16~17階に泊ってる。その客室はなぜか畳敷きのこともあるのが、僕のイメージ力のいい加減なところ。
鍵を失くしてチェックアウトできないとか、荷物を片付けてなくて飛行機に間に合わないとか、こんなトラブルが起きる場所だ。

そのホテル周辺にある地元料理のレストランをよく利用するけど、前とは同じ店に行かないのは、夢の中で観光気分を楽しもうとしてるんだと思う。
それで注文の仕方が分からないという不安が常に付きまとう。また美味しいメニューにはなかなかありつけないんだよ。
周りにはまだまだいろんな料理屋が存在してる。僕はピザが食べたいと思っていて、でもここにはピザ屋がなくて探し回ったり。
こういう夢では、いつも思い通りに行かないもんだ。

北にはなぜか日本風の赤い建物が連なる料亭の町並みがあって、いつも夜の景色。
混雑していて、行列で行き交う人々は、アラビア語かヘブライ語なのか、僕には何を言ってるか解らないのに、夢の中ではその発音だけ聞き取れる不思議。
そのもっと北にはハイウェイのようなインターチェンジやトンネルもあった。
ホテルのさらに西の方角には、乾いた畑やイチジクの木がたくさん生えた公園のようなエリアの横に、高架になった高速道路があるけど、前述のインターチェンジに繋がっているのかは知らない。
駅ターミナルの南西には質素な住宅街があり、そこは何度か歩いたり、自転車で走ったりした。街路樹にまたイチジクがぶら下がっているが、色が若いので食べられそうにない。熟したのを探したことも。
この辺りの道に人はいないけど、かわいい黒猫がいて、意味なく追っかけてみたっけ。
住宅からは聴き慣れたようなポップ音楽が聞こえてくる。
東には土手のように土の崖がそびえ、それに沿って南北に道路が走る。まだそこから北には行ったことがないな。夢だと解っていて、その先は虚無な気がするけど気にはなる。
でも、一体何が気になってるのかは分からないんだ。
南には観光地が郊外へ続いていて、そこに妻を連れて行ったこともある。
もちろんこの夢の中での話だけど、以前の夢で感動した遺跡があるにもかかわらず、そこまではちょっと遠いから、彼女を連れて行けなかったのが心残りになってるって言うか、変な感覚だな。
それは岩山の穴にミイラや巨大な石像が横たわっていて見ごたえ抜群!だったのを、この夢を見る度に思い出す。
そう言えばものすごく暑かったんだった。
一度、発掘してみようと思うけど、そんな展開になったことはないな。
周辺にはお店も多く、そんな土産物店に並んでスイーツを出すおしゃれなカフェには、やはりイチジクを用いたゼリーやパフェがショウケースに並んでた。
どうしてイチジクなんだろう?
この辺りまで来ると、土漠の道は東に90度ほど方向を変えている。つまり起点の駅ターミナルの南東ということになる。これも俯瞰で把握してる。

更にその先へ進むと、大きな川か入り江のような水辺の風景が、キラキラと輝いてた。小さい丘に風光明媚な建物の町並みが続く。バベルの塔(架空の塔)がどこかにある有名な街らしい。
(ここは今までの街と何かが違う)そんな気がしていた。しかもその道にちょっと見覚えが・・・。
現実にそんなことあるはずないけど、テレビで見たことがある気がして、僕はこの町の様子を知っている(ような気がしてならない)。
「小さい商業施設内に有名なピザ屋さんがある」って、番組で言っていた(ような気もする)。
そこの停車場にバスが着いた。・・・僕は観光バスに乗っていたようだ。
スロープでつながる二階のエントランスでバスを降りて建物に入り、エスカレーターを降りたところにピザ屋があった。
やっとピザ屋を見つけた。
僕は何度見たか分からないこの夢で、初めてピザを食べられることが嬉しかった。
ところが店に入ると、また注文の仕方が分からない。そこにあったカウンターにはメニュー表がない。
サンプルらしきピザの破片を見て、ブルーチーズのピザを指差してみたら、言葉が通じないと思った黒い顔で白髪の男性店主が、トッピング食材を冷蔵庫を開けて見せてくれた。
そこには新鮮な食材が沢山並んでいた。僕はその中でまたイチジクに目が留まった。

>現実の中東では、僕はしょっちゅうピザを食べていた。
>特に地中海周辺では、イタリアンなピザ屋が多いから。
>でもその地域で、イチジクを見たことなど一度もないと思うけど、この夢にはいっぱい出てくる。
>別にイチジクが好きって訳じゃないんだけどな?
>きっと中東じゃどこでもよく見られるザクロが、僕の日本人的な印象でイチジクに置き換わってしまってるんだろう。

店主は僕の注文通り、イチジクとブルーチーズでピザを焼き始めた。
その手順を目の前で見ていた僕は、目覚めるとそのレシピをスマホにメモしておいた。
長い長いこの夢の履歴の中で、やっとたどり着いた答えだったから。
それが、冒頭のピザである。

>僕はここ数年、イチジクをこの方法でしか食べてないな。
>珍しいレシピを夢で発明したと思って今回のひとり言にしてみたけど、念のためググってみると、意外と定番メニューだったようですね。残念。


     つづく