天国と地獄の婚姻
此処で吾曰く! 汝の宿命なりしや、この時空での、もしそれを時空と呼ばむなら、間もなく吾は馬小屋と教会を見し、そして、吾は彼を聖餐台へ連れて行きそして「聖書」を開きし、そして嗚呼! それは深き穴なり、吾の前のその天使に引っ張られて吾をしてその穴に降らせし、間もなくわれは七つの煉瓦造りの家を見し吾等は第一の家に入りし、中には多くの猿や狒狒(ひひ)など、その種属に属するあらゆるものが胴を鎖で繋がれ、互ひに歯を剝きそして引っ摑みてをりしが、鎖が短き故にそれは抑へられし、然しながら吾はそれらが時時巨大化し、そしてそれから弱きものが強きものに摑まへられ、にたり顔で初めは一組に為りそして貪り食らひし、初めに一つの四肢がそして別のものが引き千切りられ、遂には肉体は絶望的な胴が残されし。そしてこの後歯を剝き出し手にたり顔をしそしてそれに愛してゐるが如くに口付をしそれらもまた貪り喰らはれり、そして彼方此方で自身の尻尾から肉を美味しさうに引っこ抜くものを見つ、恐ろしい悪臭に吾等二人とも苛立たせ、吾等は粉挽き場へ行きし、そして吾はわが手に一柱の骸骨が齎されり、その骸骨は粉挽き場ではアリストテレスの「分析論」なりし。
そうして天使が言ひつ、汝の幻想が吾に騙しけり、そして汝は恥じるべし。
吾答へし、吾等は互ひに騙し合ひ、そして汝の作品が唯一「分析論」為る汝との会話は時間の無駄なり。
対立が本当の友情なり
天使達が唯一の賢さのやうに己自身について語るのに虚しさが付いて回るといふ事を吾は何時も見出しぬ、かやうに彼らは組織化されし理性から芽生えし自信たっぷりで横柄に物事を扱ひし、
かやうにスウェーデンボルグは彼が記したものが新しいと誇りし、しかし、それは既に出版されし本の「内容」と「索引」のみなり
一人の人間が見世物にするために一頭の猿を運びし、そして何故なら人間は猿よりちょっぴり賢いので、自惚れ、七人の人間よりずっと賢い事を彼の事を理解せし。スウェーデンボルグがさうであったやうに、協会の愚かさを見、そして偽善を露呈す、遂にかれは全ては宗教だと想像すそして彼自身蜘蛛の巣が永劫に壊れてしまった地上の唯一のものなり。
今、平明な事実を聞き給へ、スウェーデンボルグは何一つ新しい真実を書かざりし。
今、別のものも聞き給へ、かれは全ての古き愚劣を書きし。
そしてその理由を聞き給へ。彼は全てが宗教的なる天使と話し合ったなりしそして全て宗教を憎む「悪魔」とは話してをらず、何故なら彼は自惚れてゐた為に狭量なりし。
かやうにスウェーデンボルグの著作はあらゆる浅薄な意見の要約、そして更なる荘厳な分析なり、しかしそれ以上のものではなし。
今別の平明な事実がありし、機械に長けた人はスウェーデンボルグの著作と同等なパラケルススやヤコブ・ベームの著作から一万冊の書籍を生み出す。そしてダンテやシェイクスピアの著作から無限の書籍を。
しかし彼がこれを成し遂げし時、彼は彼の主人より優れてゐると知った事を言はさせない、何故なら彼は唯、陽光の中の蝋燭なりし故に。
記憶に残りし幻
かつて私は燃え上がる炎の中に「悪魔」を見し。彼は雲に坐り「天使」の前に立てり。そしてその「悪魔」はそれらの言葉を言ひし。
「神」の礼拝はありし。神の霊性に従ひ各各他人の中で光栄なる神の賜り物。そして最も人間を愛する事、偉大なる人を妬みそして中傷する人は「神」を憎むなり、何故なら他に「神」なし故なり。
これを聞きし「天使」は殆ど蒼くなりしが、彼自身を支配しつつ彼は黄色になりし、そして遂には淡い桃色にそして笑ひながらそしてそれから答へし、
汝、偶像崇拝者よ、そなたは「神は一つ」為らずや? 彼はイエス・キリストの中に見えぬや? そしてイエス・キリストはモーセの十戒に認可を与へずやそして他の全ての者は愚者で、罪人で、そして無に等しきものにあらずや?
「悪魔」が答へし、小麦を盛りしすり鉢と共に愚者を擂り潰せし。彼の愚かしさは未だに彼に打ちのめされぬや、仮にイエス・キリストが偉大なるものならば、汝は彼を最高の愛を以て彼を愛するべし、今、聞き給へ、如何にして彼がモーセの十戒を認めしかを、安息日に彼は嘲りしやそして安息日に「神」を嘲笑ひしや? 彼故に殺されし人人を殺すや? 不貞を働きし女から法を顔を背けしや? 彼を支持する為に他の労役を奪いしや? 彼がピラトの面前で守る事を怠りし時過誤の目撃者は堪へられしや? 彼の弟子の為に彼が祈りし時、そして弟子ら泊まらせる事を拒んだ事に反して彼ら拒んだ人人の足の埃を振り払ふやうにと彼が彼ら弟子に命じた時を熱望するや? 吾、汝に言ふ、モーセの十戒破らぬ徳は存在せず、イエスは全ての徳なりし、そして衝動より行動す、徳からではなく。
彼がさう語ったとき、私は手を伸ばして燃え上がる炎を抱き締めし「天使」を見しそして彼は焼き尽くされそして預言者エリヤが現はれし。
注釈。この「天使」は、今は「悪魔」に為りしが、私の特別な友人なり、吾等はその地獄の中で若しくは、世界が上手く運べば必ず生じし残忍なる感覚で「聖書」をお互ひに読みし、
吾はまた持ちつ、「地獄の聖書」を、それは、世界が望むもうが望まないかのどちらかにせよ持つことに為りし。
獅子の為の一つの法若しくは牡牛の圧政
「自由の歌」
1. 「永劫の女性」が呻き声を挙げし! それは地上全てに行き渡り、
2. アルビオンの海岸は病み沈黙す、アメリカの牧草地は羸弱なり!
3. 「預言者の影」は湖の川の傍に沿ってぶるぶると震へそして大洋を越えて呟く! フランスは汝の地下牢を粉砕せよ、
4. 黄金のスペインが古代ローマの防壁を爆破せよ、
5. おお ローマよ 汝の鍵を奈落に投げ落とせ 永劫の落下へと、
6. そして泣け!
7. 彼女の震へる手には恐怖が漂ふ新たに生まれしものを、
8. それら永劫の光の山脈の上に今大西洋によって遮られ、その新たに生まれし燃え上がる炎は綺羅星の如き王の前に立てり!
9. 灰色の眉をした雪のやうな白髪そして雷(いかずち)の顔をし嫉妬の翼で奈落の上を波打し、
10. 槍のやうな手を高高と燃え上がらせ留め金が外されし盾、燃え上がる頭の中から嫉妬の手が前へ伸び、そして漂ひつつある新たに産まれしものは星が煌めく夜にうろつきし。
11. 炎が、炎が、落ちてし!
12. 見上げよ! 見上げよ! おお ロンドン市民よ。汝の顔は拡がりし、おおユダヤ人よ、黄金を数えるのを已めよ、汝の油と葡萄酒は戻りし、おお アフリカ人よ! 黒きアフリカ人よ! (行き給へ。翼或る思想よ彼の顔を拡げよ。)
13. 炎の四肢、燃え上がる髪は、西方の海に沈みゆく太陽の如き撃ちし。
14. 永劫の眠りから目覚めると、白髪の四大の一つは逃げ去りし、
15. 嫉妬の王が彼の翼を虚無の中でばたばたさせて猛然と降りてきし、彼の灰色の眉をした顧問官達、雷の戦士達、丸くなりし古参兵達、辺りには、兜そして盾と、輪戦闘馬車、象、軍旗、城、投石器そして岩、
16. 落ち行き、猛然と、崩れし! 瓦礫で埋もれしアーソナの隠れ家。
17. 崩壊の下のあらゆる夜、それからそれらの薄暗き消えゆく炎が陰鬱な王の周りに現はれし、